■母が脳梗塞で死んだ【第9話】
母が脳梗塞で死んだ。
43歳だった。
10日まで元気だったのに。急に逝ってしまった。本当に急に・・・
11日の朝、母は低血圧で夜遅い仕事のせいもあるのだが朝が弱い、朝食を作るのは俺の日課になっていた。
いつもみたいに朝御飯作って母さんを起こしに「ごはんできたぞ」と呼んだ。
でもいくら呼んでも返事がなかった。いつももう少し寝かせてとぶーぶー文句言いながらも、絶対に起きてくるのに、おかしいと思って見に行ったら母さんはもう冷たくなってた。
最初はふざけてるのかと思った・・・
俺がまだ3歳のときに父親が死んで女手一つで俺を育ててくれた母さん。よく口論もしたし引っ叩かれもした。まるで姉弟のようにほんとよく喧嘩した。
母さんが会社の帰りに飲みにいって終電なくなると毎回俺が呼び出された。あきる野に住んでるってのに新宿だ、吉祥寺だと。あちこち呼び出され、ほんとアホかと。
高校卒業間近の時、金きついのに大学いかせてくれた。金ないんだから働くよと言ったら、おもいっきり引っ叩いてまで俺を大学に行かせてくれた。
今年大学をキッチリ卒業して就職してこれからやっと親孝行できる身になったのに…。
なのに母さんは急に死んでしまった・・・
友達や親族とかにこの顔見せるのはさすがに辛いからここだけで叫ばせてくれ。
かなしいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしい
どうしよう。なんかもうなにしていいのかわからない。今年の年末年始は母さんを旅行に連れてってやろうと思ってて…。
もう計画だってちゃんと立っててあとは年末年始を待つだけだった…。
結局俺はなにもしてあげられなかった。
母さんの生命力吸い取るだけ吸い取って。一人前に俺がなると生命力吸われすぎて交代のように母さんだけ消えてしまった…。
やっと親戚も全員帰ってくれてこれでやっと一人で泣ける。なんか泣くのガマンしすぎた。
これ書きながら涙とまらない。
母さん幸せだったのかな。幸せにしてあげたかったな。女で1つで育ててくれた母さんに親孝行したかった・・・・
■父からもらったドーナツの箱をあけた【第10話】
学生時代、書類の手続きで1年半ぶりに実家に帰った時のこと。本当は泊まる予定だったんだが、次の日に遊ぶ予定が入ってしまったので結局日帰りにしてしまった。
母にサインやら捺印やらをしてもらい、帰ろうとして玄関で靴紐を結んでいると、父が会社から帰ってきた。
口数が少なく、何かにつけて小言や私や母の愚痴を言う父親のことが苦手で、一緒に居ると息苦しさを感じていたので、父が帰宅する前に帰ってしまいたいということもあり日帰りにし、ひいては家から通えない距離の学校を選んだのも理由の一つだった。
父が、「なんだお前、泊まるんじゃなかったのか」と訊いたので、「ちょっと忙しいから」とぶっきらぼうに答えると、「そうか・・・」と言いながら手に持っていた ドーナツの箱を私に差し出し、「これやるから、電車の中で食え。道中長いだろうから」と言った。
電車の中ではさすがに食べられないと思いながらも受け取った。
駅に着くと、電車は行ったばかりのようで人気がなく、30分は待たされるようだった。
小腹が減ったので、父からもらったドーナツの箱を開けた。3個ずつ3種類入っていた。
家族3人でお茶するつもりだったんだなぁ。でも、私が9個貰っても食べきれないよ・・・
箱の中を覗き込みながら苦笑した。
その直後。
あぁ、あの人は凄く不器用なだけなんだろうな−。ふとそう思うと、涙がぼろぼろ出てきた。
様々な感情や思い出が泡のように浮かんでは消えるけど、どれもこれも切なかったり苦かったりばっかりで。
手持ちのポケットティッシュが無くなっても、ハンカチが洗濯直後の干す前みたいに濡れても涙は止まらなくて、結局、もう一本あとの電車が来るまで駅のベンチでずっと泣き続けていた・・・。
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