2016年6月7日火曜日

お話 前編

ヘンゼルとグレーテル「和菓子の家だ!」

ー森の中ー
ヘンゼル「パンくずで作っておいた目印がなくなってる! どうして!?」
グレーテル「どうするの、お兄ちゃん!」
ヘンゼル「と、とにかく……森を出なきゃ!」
グレーテル「出るって……どうやって?」
ヘンゼル「歩くんだよ! 適当に歩けば、きっと森を出られる!」
ヘンゼル「森を出たら、誰かに助けを求めればいいのさ!」

ところがーー
ヘンゼル「ハァ、ハァ……」
グレーテル「ねえお兄ちゃん、ここさっきも通らなかった?」
ヘンゼル「うう……」
グレーテル「お兄ちゃん、あたしたち本当に森を出られるの?」
ヘンゼル「出られるさ! とにかく歩くんだ!」

……
ヘンゼル(くそっ、いくら歩いても森を出られない!)
グレーテル「お兄ちゃん……あたし、もう歩けない……」
ヘンゼル「グレーテル……」
ヘンゼル「ほら、おぶってあげる」
グレーテル「お兄ちゃん……ありがとう」
ヘンゼル「兄が妹を助けるのは当然だろ? なんとしても、この森を出るんだ!」

……
グレーテル「お兄ちゃん、大丈夫?」
ヘンゼル「ああ、へっちゃらさ」
グレーテル「ーーあっ」
ヘンゼル「どうした?」
グレーテル「あそこに……家があるよ!」
ヘンゼル「……本当だ! 行ってみよう!」

ヘンゼル「……なんだこれ? ただの家じゃないな……」
グレーテル「なんだか甘い匂いがするよ」クンクン
ヘンゼル「ホントだ」クンクン
ヘンゼル「ーーこ、これは!?」
ヘンゼル「これは……壁が羊羹でできてる!」
グレーテル「あっ……こっちはきんつばでできてるよ!」
ヘンゼル「ということは、そうか、これはーー」
ヘンゼルとグレーテル「和菓子の家だ!」

グレーテル「……」グゥゥ…
ヘンゼル「……」グゥゥ…
グレーテル「ねえお兄ちゃん」
ヘンゼル「ん?」
グレーテル「この和菓子の家……ちょっと食べてもいい?」
ヘンゼル「!」
ヘンゼル「ダメだダメだ!」
グレーテル「どうして?」

ヘンゼル「和菓子ってのは、ハッキリいってマズイんだ!」
ヘンゼル「いくら腹が減ってるからって、こんなの食べたらダメだ!」
グレーテル「でも……おいしそうな匂いだけど……」
ヘンゼル「とにかく、ダメったらダメなの!」
魔女「おやおや、ひどい言い草だねえ」ヌゥッ
ヘンゼルとグレーテル「わっ!?」

ヘンゼル(あの不気味な黒いローブ、間違いない!)
ヘンゼル「お前……魔女だな!」
魔女「おやおや、よく分かったじゃないか。私が魔女と呼ばれてるってことを」
グレーテル「ま、魔女……!?」
ヘンゼル「ぼくたちを……食べるつもりか!?」
魔女「そんなことしやしないさ。むしろ、食べてもらいたいと思ってるのさ」
魔女「私が作った……和菓子をね」

ヘンゼル「誰が和菓子なんか食べるか!」
魔女「食べたくなきゃ食べないでいいよ」
魔女「そっちのお嬢ちゃん。ほら大福だ、食べてごらん」
グレーテル「うん!」
ヘンゼル「お、おいっ! あいつは魔女なんだぞ!」
グレーテル「いただきます!」モグッ
グレーテル「……」モグモグ
グレーテル「うっ!」
ヘンゼル「グレーテル!? 大丈夫か!?」

グレーテル「おいし〜い!」
ヘンゼル「へ……」
グレーテル「控え目な味の餡とさっぱりした皮が絶妙なハーモニーをかもし出してる!」
魔女「ひっひっひ、ありがとうねえ」
グレーテル「ねえ、もっと食べていい?」
魔女「いいとも、和菓子はいつもたっぷり作ってあるからね。たんとお食べ」
ヘンゼル「……」ゴクッ…

ヘンゼル「あ、あのっ!」
魔女「なんだい?」
ヘンゼル「ぼくもちょっとだけ食べたいかな〜……なんて」
魔女「おや? 和菓子はマズイんじゃなかったのかい?」
ヘンゼル「うぐ……」
ヘンゼル「お、お願いします! 食べさせて下さい!」
魔女「仕方ない坊やだ、ほれ、どら焼き」

ヘンゼル「どら焼き……? こんなの食べるのタヌキぐらいーー」モグッ
ヘンゼル「うんめえええええええええ!」
ヘンゼル「ふわっふわの生地が、つぶあんと絡み合って、うんめえええええええ!」
ヘンゼル「うめえ、うめえよぉ……!」ガツガツ
ヘンゼル「手にくっついた餡ですら、舐めたくなる……!」ペロペロ
魔女「ひっひっひ、ありがとうよ」
グレーテル「お兄ちゃん……ちょっと怖い」

魔女「和菓子はまだまだ家の中にあるから、たっぷり食べておくれよ!」
ヘンゼルとグレーテル「いただきまーす!」

ー魔女の家ー
ヘンゼル「このせんべい!」バリボリッ
ヘンゼル「噛めば噛むほど幸せが押し寄せてくる! たまらねぇ〜!」ボリボリッ
ヘンゼル「ああっ、今ぼくは幸せを噛んでいるぅ〜!」バリボリバリッ
グレーテル「このおはぎ、おいしい!」モグッ
グレーテル「お米も餡もモチモチしてて、いつまでも楽しんでいたい食感だわ!」モチモチ
グレーテル「んもう、ほっぺた落ちそう!」

ヘンゼル「羊羹うめえ!」モグッ
ヘンゼル「歯触りがよくって、上品な甘さで、非のうちどころがない!」
ヘンゼル「この紫色のキューブには、完璧の二文字が詰まっているんだぁ〜!」
グレーテル「栗まんじゅう、おいしいよぉ!」
グレーテル「ほくほくしてて、栗の甘みがふわっと口の中に広がる!」
グレーテル「飲み込んだ後にも、ほんわかと余韻を楽しめるよ!」

ヘンゼル「このきんつば……なんて素晴らしい味なんだ……!」モグモグ
グレーテル「ん〜、このかりんとう、やめられない止まらない!」ポリポリ
ヘンゼル「芋けんぴうめえ! 芋の持つ甘みが、菓子に昇華されている……!」サクサク
グレーテル「八つ橋おいしいよぉ……ニッキの香りがたまらない……」モグモグ
魔女「ほら、お茶を持ってきたよ」
ヘンゼルとグレーテル「いただきます!」

ヘンゼル「あ〜……食った食った」ゲプッ
グレーテル「ごちそうさまでした!」
魔女「こちらこそ、おいしく食べてくれてありがとうよ」
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