2015年11月14日土曜日

泣ける話

兄と妹のドラクエ3
私には、兄がいました。
3つ年上の兄は、妹想いの優しい兄でした
ドラクエ3を兄と一緒にやってました。
(見てました。)
勇者が兄で、僧侶が私。
遊び人はペットの猫の名前にしました。
バランスの悪い3人パーティ。
兄はとっても強かった。
苦労しながらコツコツすすめた、
ドラクエ3。おもしろかった。
たしか、砂漠でピラミッドがあった
場所だったと思います。
とても、強かったので、大苦戦してました

ある日、兄が友人と野球にいくときに、
私にいいました。
「レベ上げだけやってていいよ。
でも先には進めるなよ。」
私は、いっつもみてるだけで、
よくわからなかったけど、
なんだか、とてもうれしかったのを
覚えてます。
そして、その言葉が、兄の最後の
言葉になりました。
葬式の日、父は、兄の大事にしてたものを棺おけにいれようとしたのを覚えてます。
お気に入りの服。グローブ。
セイントクロス。そして、ドラクエ3。
でも、私は、ドラクエ3をいれないでってもらいました。
だって、兄から、レベ上げを
頼まれてたから。

私は、くる日もくる日も時間を見つけては砂漠でレベ上げをしてました。
ドラクエ3の中には、
兄が生きてたからです。
そして、なんとなく、強くなったら、
ひょっこり兄が戻ってくると
思ってたかもしれません。
兄は、とっても強くなりました。
とっても強い魔法で、
全部倒してしまうのです。
それから、しばらくして、ドラクエ3の
冒険の書が消えてしまいました。
その時、初めて私は、泣きました。
ずっとずっと、母の近くで泣きました。
お兄ちゃんが死んじゃった。やっと、
実感できました。

今では、前へ進むきっかけをくれた、冒険の書が消えたことを、感謝しています。

Saga2は思い出のソフト

Saga2は思い出のソフトなんだ……
今でもよく思いだしては切なくなってます
俺さ、産まれた時から酷い
小児喘息だったのよ。
夜中にかーちゃん起こして病院連れてってもらうなんてしょっちゅうだったし、
小学校あがって更に病状が悪くなって。
もちろん体育なんかでれないし、
みんなと外で遊ぶ事すらできなかった。
んで、小五になってからほぼ毎日病院行って吸入するくらいまで悪化しちゃって、
そのまま3週間入院する事になって。。。
んでね、そん時 4人部屋の
病室だったんだけど
二人はおばあちゃんとおじさん、んでもう一人は俺と同い年くらいの女の子だった。
俺、昔からすげぇ人見知りが激しい上に物凄い照れ屋で、なかなか
その同室の人達と仲良くなれないで
一人で勉強してるかゲームボーイ
やってるかだったのよ。
そん時家から持ってきたソフトが
「Saga2」で、もう一回クリア
したやつだったんだけど
ヒマだしもっかいやるかな、
って毎日やってたワケさ。
んで入院して一週間立った頃、
俺がゲームボーイやってる時は
なんかその同室の女の子がじーっとこっち見てる事に気づいたんよ。俺が彼女の方みると慌てて目逸らすんだけどね。
もしかしてやってみたいのかな?と思って「良かったらコレ借そうか?」って
聞いたのよ。
そしたら目ぇ輝かせて「いいの?」っていうもんだから、「もう飽きたからな」とか照れ隠しして借してあげたさ。
でも案の定操作が分からないらしく、
画面とずっとにらめっこしてるもんだから
俺が操作教えながら一緒に
ゲーム進めることにしたんよ。
パーティーは
人間・男の主人公「リョータ(俺の名前)」で、
仲間は人間・女「さやか(彼女の名前)」
あとはエスパーガールとロボットに
それぞれ同室のばあちゃんとおじさんの
名前つけたっけ。
それからどんどんそのコと仲良くなって、二人でゲームボーイやるだけじゃなく、
色んな話もするようになった。
学校の事、家族の事、好きな音楽の事、
近くに迫った夏休みの事…
それからの時間はあっという間だった。
すぐに俺が退院する時がやってきた。
看護婦や同室のおじさん、ばあちゃん達が口々に「おめでとう」って
言ってくれてる中
彼女だけ泣いてた。
それ見て俺も泣きそうになったさ。
でもグッと堪えて
「オマエ退院するまでコレ借してやるよ。退院したら連絡くれよな」ってそのままゲームボーイとSaga2置いていったのよ。
それから何回もお見舞しに行こうと思った…でもいざ行こうかと思うとなんか照れくさくて行けなかった。
連絡がないまま1年半が過ぎて、俺も小学校を卒業する頃になった。
せめて卒業前にもう1度会って
おきたいな、と思って意を決して
お見舞に行く事にしたんよ
病室に行ったけど彼女はいなかった。
病室入口の名前欄にもない。
もうとっくに退院してたのかな…?
と思ってとりあえず
ナースセンターで聞いてみた
「遠い所にいった」とかうまく
はぐらかされたけど、俺も小6だったし、
そこまでバカじゃない。
その場の空気や後ろの看護婦が
泣き出したのを見ても明らかだった。
俺がショック状態で呆然としてる中、
その看護婦が
「ああ、そういえばさやかちゃんから、
リョータ君が来たら渡しといて、
って言われた物があるのよ」
と言って俺にそれを渡してくれた。
借してあげたゲームボーイとSaga2だった。
俺はそれを受けとって家に帰った。
帰るなりメシも食わないで、暗い自分の
部屋でゲームボーイのスイッチを入れた。
懐かしいあのOPの音楽。
それと一緒にでてくるロード画面。
一つは彼女と俺が一緒にプレイしたデータあの時からほとんど変わってない。
懐かしさと悲しさで胸がいっぱいになった
もう一つのデータは
やたらレベルの低いデータだった。
最初から始めてすぐ飽きたんかな?
と思ってそのデータをロードしてみた。

パーティー四人の名前がこうなっていた。

「リョータ」

「いろいろ」

「ありがと」

「バイバイ」

…今でもSaga2のOPの曲を聞くと涙が出るよ
お見舞行ってあげられなくてゴメンな…。
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