2016年7月19日火曜日

恐い話前編

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守り神のお面


あれは三年前で、俺が大学4年生のころ。結構早く内定が出たから、遊び回ってたんだよねww
彼女とか友達と毎晩遊んでたんだけど、ある時なんだかみんなと予定が合わない日が続いたんだよね。
まあ、暇になったってこと。
ほんで、もうすぐ夏休みだったし、久しぶりに爺ちゃんに会いに行こうと思って、母方の田舎に行ったんだ。
これがすごい山奥なんだよねwww
どこかは伏せるけど、とにかく田舎よ。全然、外灯とかも無いわけ。
そこに一人で行ったんだよ。
電車に二時間半くらい乗ってさwww
爺ちゃん家に着いたのは、もう夜だったな。
ほんで、全然話が変わって申し訳ないんだけど、爺ちゃんの家はすごい古くてさ。
なんかよく分からんもんが、沢山あんの。
そん中で特別、頭おかしいやつが、あってさ。
能面みたいなやつなんだよね。すごい古いものらしいんだ。
こいつがオカルトなわけ。壁にかけて飾ってあるんだけど、そいつが夜になると一人で浮いて、家中を徘徊したりするらしいんだよね。
そんな話をお袋から聞いて育ったから、爺ちゃん家に行くたびに「最近は動いた?」って聞いてるんだ。
この時も爺ちゃん家で夕飯食べながら、聞いたんだよ。
「あのお面まだ動くの?」って。
爺ちゃんはお面のある部屋で寝てないから、分からないって言ってた。
でも、お面の話すると、いつも言われるんだけど、「あの面は家の守り神なんだから、怖がるもんじゃない」って、その時も言ってた。
だけど、俺はなんとなく怖いのと、興味があるので、半分半分くらいだったんだよね。
でも、田舎で暇だし、刺激求めちゃったんだよね……


俺、その晩、お面の部屋で寝ることにしちゃって。爺ちゃんは笑って、いいよって言ってたし、何も起こんないだろって余裕こいてたよ。
あれが良かったんだか、悪かったんだかは、今でもよく分からんわ。
まあ、とにかく、しばらくは携帯弄ったりしながら、お面を見張ってたわけ。
そしたら夕飯食いすぎたのか、お腹痛くなってきてさ。トイレ行ったんだ。
古い家だけど、トイレは普通に洋式で、普段あんまり怖いって感じじゃないんだけど、お面のこと考えてたし、時間も深夜二時くらいだったから、ちょっとビビってたんだよ。
用が済んで、ケツ拭いて、立とうとしたら、トイレのドアがカタカタ揺れ始めてさ。
そのカタカタが段々大きくなるんだよ。
で、カタカタと共にコツコツとノックみたいな音も混じりだして。
一瞬で分かったよ。「あ、お面が来たんだ」って。
すごい寒気がしだして、怖くて、爺ちゃんを呼ぼうと思ったんだけど、喉がガラガラで何故か声が出ないんだよ。
しかも、変な臭いがし始めて。
いや、俺の排泄物の臭いじゃないよ。
なんか草とか土を濃くした臭いみたいの。
草刈り機とかで雑草刈ると変な臭いするじゃん?
あれのもっと邪悪な臭い。とにかくクサイんだよ。

んで、便座に座って、心の中で「ごめんなさい、ごめんなさい」って祈り続けたよ。何を謝ったんだか分からないけど、とにかく許してもらおうと思って。
で、こんな怖い時に、不思議なんだけど、トイレまだ流せてないのを、思い出してさwww
とりあえず流そうって思って、便座から立って、トイレの方を向いたの。
そしたら、体が固まったよ。
爺ちゃん家のトイレは、トイレのタンク側に小さい小窓があるんだけど。
そこから変な女が上半身出して、トイレに乗り込んで来てるんだもん。
そんな人が通れるほど、大きい小窓じゃないんだ。
あからさまに幽霊だよ。
ショートカットの女で、顔は白いんだけど、笑っても泣いても怒ってもないんだよね。
真顔。そのまま、ちょっとずつ俺の方に寄ってくるの。
トイレのドアは相変わらずカタカタ言ってたけど、そんなんはもう怖くなくなってて。
女の方が怖かったよ。ナメクジくらいのスピードだけど、近くに寄って来てるんだもん。
んで、トイレのドア開けて、逃げたわけ。
ドア開けたら、やっぱりお面が浮いててさ。
怖かったんだけど、後ろにいる女よりマシだから。
トイレ出て、そっちに向かったわけ。
そしたら、お面も俺の方に動いてきてさ。
しかも、お面はめちゃ速いの。
ヒュンって動いて、俺の顔にお面がくっ付いたんだよ。
ちょうどお面をかぶるみたいに。
急でめちゃビビったよ。
で、そこでついに気絶したんだよね。
気絶する瞬間は今でもよく覚えてる。
顔からお面を外したいって、怖いって思いながら、倒れたよ。


つぎの日、廊下で倒れてる俺を爺ちゃんが発見して。
女とお面のこと話したんだよね。
そしたら、当たり前だけど、爺ちゃんも驚いて。
もちろんすごい心配もしてくれたよ。
お面のことは興味ないみたいで、女の事ばっか聞いてきたな。
「どんな顔だった」とか「何着てた」とか。
正直、そんなのよく覚えてなくてwww
でも、「なんか草とか土みたいな臭いがして、たまたま振り返ったら居た」って言ったんだよね。
そしたら、爺ちゃん、なんだか神妙な顔をして、「トイレには行くな。行きたくなったら庭にしろ。これから爺ちゃんはヨネちゃん連れてくっから」って。
ヨネちゃんってのは、近所に住んでる婆さんで、どっかの神社の娘だったらしくて、霊感とかそういう能力があるって言われてる人。
でも、爺ちゃんが家でてったら、俺一人じゃん?そんなん怖いから、俺もついてくって言ったんだ。
そしたら、爺ちゃんが「面(オモテ)さんから離れたらだめだ」って言って、俺は家で留守番することになって。
爺ちゃんが出てって、めっちゃ怖いから、テレビ爆音にして待ってたんだよね。
そしたら、意外とすぐ帰ってきたんだ。
5分くらいかな。ほんとにすぐだった。
ヨネちゃんが「○○(俺の名前)ちゃん! 大丈夫かー?」って来て。
ヨネちゃんにも、昨日の夜の話を全部したんだ。
ヨネちゃんは「うんうん。怖かったねぇ」って言って。
俺は、は? こいつ真面目に聞いてんのか?
こっちはマジで幽霊見てんだよ。趣味では霊感持て余してんじゃねえんだよ。
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