--------------------
・今日の漫才
「いやーもうすぐ梅雨だね」
「ああ、そうだね」
「俺梅雨って言ったらやってみたいことが一つあってさ」
「ふむ」
「あのね、おじいちゃんが死んだとき棺おけにおじいちゃんが生前好きだったものとかを入れてあげる、ってのやってみたくてさ」
「……梅雨関係ないよな」
「梅雨は関係ねえよ。何で梅雨の話すんだよ。馬鹿か?」
「お前がな」
「まあとにかくいざってときにさ、気持ちよく成仏してもらいたいじゃない。だからさ、今ちょっとやっとこうと思って」
「ああ、まあ大事なことだしな」
「うっ、ひっ、ひっく……おじいちゃん……おじいちゃぁん……!」
「ぐすっ……ほら、泣いてばかりいないで、最後のお別れしなきゃ……」
「う、うん、そうだね……」
「これ……おじいちゃんの好きだった本……こればかり読んでたもんな爺ちゃん…」
「これも……おじいちゃん読んで……」
「ぐすっ……お前……何入れたの……?」
「タウンワーク……」
「求人誌じゃねーか、お前何天国でも働かそうとしてんだよ」
「仕送りしてね……」
「鬼かお前は。お前が働けっつんだよ!お前が持ってけよこれは!」
「あ、俺全部読み終わったんで」
「じゃあ働けよ馬鹿野郎、タウンワーク読んだだけで仕事できる気になるってニートの初期症状だからな!」
「えー駄目なのタウンワーク」
「駄目に決まってんだろ。あのな、おじいちゃんが天国でも退屈しないようなものを入れるんだよ。好きだったものとか!」
「あーなるほどね」
「ちゃんとやれよ馬鹿 ぐすっ……これ、おじいちゃんが好きだった本……」
「これ……おじいちゃんがよくやってた……囲碁……」
「おじいちゃん……ほら、おじいちゃんの好きな船の模型だよ……」
「これも…好きだったよね……オセロ……」
「ほら、ラジオだよ……野球実況好きだったもんな……」
「おじいちゃん……これ、トランプ……」
「一人で遊べるもん入れろやお前。何だよさっきから囲碁とかオセロとかトランプとか!そんなもん一人でやっても楽しくねえだろうが!」
「親友の山形さん……」
「相手入れんな相手入れんなって!この棺おけ一人乗りだし、そもそも山形さん生きてっからな!じゃなくて、一人でも遊べるもん入れろってんだよ」
「スマブラ……」
「楽しくねんだよ、一人で遊べるけど楽しくねんだよスマブラは!せいぜいストーリーモード一通りやってキャラ全部出したら飽きるんだよこんなもん!」
「何だよお前はさっきからナムアミナムアミ」
「言ってねーよ、これがお経に聞こえてたならまさに馬の耳に念仏だけどよ。あのな、何度も言うけどおじいちゃんが寂しくないように入れるものだからな?スマブラなんか持たされた日にゃロンリー五割増しだろうがよ!」
「あ、そっか」
「頼むよまったく……ぐすっ……おじいちゃん……ほら……好きだったお酒だよ……」
「うう……おじいちゃん……キャベジン……」
「これ……生きてるときはお医者さんに止められてたけど……ほら……タバコだよ……」
「ぐすっ、ひっく……オーラツー……」
「あ……そうだよね……お酒のツマミ……いるよね……ほら……ニンニク味のポテチだよ……」
「リステリン……」
「気悪いなさっきから!何で俺のアフターケアばっかしてくれてんだよ!」
「いやだって、せっかく天国なのに口臭が地獄とかかわいそう」
「うまいこと言わなくていいんだよ、天国は口臭とか気にしねーの!フリーダムなの!」
「マジで!?じゃあ焼肉言った後、合唱コンクール出てもいいの!?」
「どんだけ儚い望みなんだそれは。とにかく後のことは考えなくていいから!好きだったものとにかく入れろ、いいな!?」
「じゃあ……これ……サラミ……」
「お、そうそう、そういうのだよ ぐっす……ぐすっ……おじいちゃん……お酒だよ……」
「おじいちゃん……トマトの輪切り……」
「うう……ほら……おばあちゃんの写真だよ……」
「ぐす……ピーマン……」
「うう……おじいちゃん……」
「ベーコン……」
「ううう……」
「アンチョビ……」
「……?」
「オリーブ……」
「あ、あの」
「エビマヨ……」
「いやいや、もういいから、つーか食い物ばっかじゃねーかさっきから ほら、もう火葬場行かなきゃいけないから」
「あ、待って待って待って、まだチーズかけてない!」
「ピザじゃねんだよ!道理でお好きな具材を乗せてくれてると思ったらよ!」
「だって今からオーブンに」
「オーブンじゃねえ、火葬だ!天国に昇るために燃やすんだよ!お茶の間にデリバリーするためじゃねぇ!」
「なんだよ文句ばっかり!お前だっておばあちゃんの写真とかトッピングしてたじゃねえか!」
「だからトッピングって言うな!ピザじゃねえんだから!お前こんなんじゃ爺ちゃん安心して眠れねーだろ!」
「そうかな」
「じゃあお前チーズまみれで熟睡してみろよ!あのな、爺ちゃんにこんなことばっかしてたら、枕元で爺ちゃんに怒られるぞ!?」
「え、マジで!?」
「マジだよ!こう夜、枕元に立ってだな『息子よ!よくもワシをチーズまみれに!』」
「うわ臭っさ!ニンニク臭っさ!」
「悪かったよ!リステリン飲むよ!飲みゃいいんだろ!ほら、これで心置きなく説教だ『息子よ!よくもワシに罰当たりなことを!』」
「あ、三十分過ぎてるんで、タダでいいですよね」
「ピザじゃねえー!」
相互募集中
@広告@
最新号取り寄せアドレス:
00592655.bn@b.merumo.ne.jp
ん!?なんか用?
00592655k@merumo.ne.jp
この号が気に入ったら押して下さい
☆ぽちっとな
http://merumo.ne.jp/like/00592655/b6027/?guid=ON
[メルモPR]
メルモでメルマガ発行しよう!
http://merumo.ne.jp/
バックナンバー
http://bn.merumo.ne.jp/list/00592655
配信元:メルモ byGMO
http://merumo.ne.jp/
スマートフォンの方はこちらから登録端末変更をしてください。
http://cgi.merumo.ne.jp/reader/subsc_change.do
0 件のコメント:
コメントを投稿