2014年12月29日月曜日

ネタ話

仏教説話〜喜八〜

2012/12/08

カテゴリー: 深い話

http://omoshiroi-hanashi.com/hukai/2499.html

昔あるところに、口を開けば罵詈雑言しか飛び出さない、他人をいたわる思いやりと優しさに欠如した喜八という男がいた。
生まれたときから感謝をしたことなどなく、自分に都合が悪ければ親であろうが罵倒し、貶め、これまで何人の人間を傷付け、陥れたのかは喜八自身でさえ分からない。






ある晩、見かねた仏様が喜八の夢に現れておっしゃった。
「喜八や、喜八。お前は本当に愚かで心の醜い男です。
 夕べ、お前は八百屋の娘さんの不妊をからかって、酷いことを言いましたね。
 あの一言で、かの娘さんがどれほど傷付いたか、お前には分からないでしょう。

 夕べ、お前が傷付けた八百屋の娘さんで、お前が傷付けた人間の数がちょうど9999人に達しました。
 あと1人でも傷付けて1万人に達したら、お前はその罪を償うために、死んでしまうでしょう。
 さりとてお前も可愛い我が子。最後にチャンスを与えましょう。

 朝、家の前に出てみなさい。
 そこに9999本の釘が刺された木杭が一本、打ち込んであります。
 その釘の数はお前が傷付けた人々の数です。お前が人を傷付ける度に、増えていった数です。

 人に感謝されたり、喜ばれたりすれば、釘は自然と減っていきます。
 釘が全てなくなるまで、ゆめゆめこれ以上一本も増やしてはなりませんよ」

そうして朝目が覚めると、夢の通り、家の前に釘が所狭しと打ち込まれた杭が立っていた。
改めてその釘の多さに驚いた喜八だったが、とりあえず死にたくはないので、その日から人の悪口を言うのはパタリと止めた。
更に、心はこもっていなかったものの、善行に善行を重ね、釘を減らす努力をした。

最初こそ不審がっていた町の人々であったが、次第に打ち解け、喜八に感謝するようになった。
初めて人から感謝された喜八は、なんともくすぐったい、不思議な気持ちになったのであった。
「これが"感謝される"ということなのか。どういうわけが、胸の奥がポカポカしてくらぁ」
それからも喜八は悪口を一切封じ、毎日毎日世のため人のために尽くした。

町の人は喜八の改心ぶりを喜び、いつしか余った野菜や米を援助するまでになった。
初めこそ心の伴わなかった喜八だが、だんだんと感謝されることに喜びを見出し始め、そうしている間に、いつしかあれだけあった杭の釘は、一本もなくなってしまった。

すると喜八の前に突然仏様が現れて、こうおっしゃった。
「喜八や喜八、よくやりましたね。釘は全てなくなりました」
突然のことに驚く喜八だったが、言われた通り家の前に出ると、確かに釘は全て消えていた。
途中から釘のことなどどうでもよくなっていた喜八は、そのとき初めてそのことに気付いたのだった。

感動の涙を流す喜八に、仏様は続けた。
「お前はすっかり改心し、己の罪を滅ぼすことができました。
 しかし喜八、その木杭をよく見てごらんなさい。
 確かに釘は綺麗さっぱりなくなりましたが、そこには無数の"穴"が空いています。
 釘を抜くのは簡単ですが、いったん空いた穴を塞ぐのはとても難しい。
 喜八や、これからお前は一生かけてその穴を塞ぐことに精進するのです」
そう言って仏様は、木杭とともに消えてしまったのだった。

さて、喜八はそれを聞いて改めて己の犯した罪の重大さを知り、いたく後悔、懺悔し、涙を流した。
釘は全てなくなり、木杭も消えてしまったが、これからは見えない罪と向き合い、一生をかけてその罪滅ぼしを行う日々が続くのである。
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