2016年2月1日月曜日

恐い話2

Bの教えられた方をみると、たしかに20歳くらい?の女の子3人組みがテーブルを囲んで椅子に腰掛けて
いるのが見えるのだが、表情をみるとなんか不安そうな感じで、あたりをきょろきょろしながら話し合っている
ように見える。

すると、3人組みのうちの1人が俺とBに気付いたらしくこちらにやってきた。
Bはもうなんか明らかに顔に出るほど嬉しそうなのだが、俺は凄く不安感を感じていた。
そして、その不安感は当然のように当った。
女の子は俺たちの前にくると開口一番こう言ってきた。
「あのー、変に思われるかもしれないんですが、ここって関東方面へ抜ける道でいいんですよね?」「それと
気のせいかもしれないんですいが…」と一瞬躊躇した後で「このドライブイン…なんか変じゃないですか?」と
言ってきた。
休憩所に入って以来ずっと妙な違和感を感じていた俺は、自分もなんか変だと感じていた事を話して
同じ席で少し事情を聞く事にした。
Bが小声で「お前結構やるじゃん」とかニヤニヤしながら言ってきたが、状況が状況だけにちょっとムカついて
無視することにした。ぶっちゃけ言うと俺もちょっとわくわく感がなかったわけじゃないが、それよりも違和感と
不安感のほうが勝っていたからだ。
話を聞いてみると、どうやら彼女達も俺達と同じように車を走らせていると、だんだんと道が整備されていない細い
道になっていき、不安になってこのドライブインに一度車を停めて確認しようという事になったらしい。
そしてこの休憩所に入ったところ、なんかあちこちに違和感を感じて怖くなってきて、どうしようかと話していた
ときに、俺とBがタイミングよく入ってきたので声をかけたのだという。
ちなみに、Bはなんかもうまるで空気読まずに俺に任せてみたいなことを言っていたが、後から聞くと内心かなり
不安でその裏返しだったと言っていた。
そんな感じでお互い状況を説明し終わった頃、女の子の1人が「それで、あそこのテレビの前にいる人なんだけど…」
と話を切り出した。
そう促されて俺もその人をあらためてみたとき、さっきの違和感の正体に気が付いた。
ちょっと遠くにいたのでパッと見は気付かなかったのだが、テレビとテーブル、そしてその人のサイズの比率が明らかに
おかしい、少し遠くにいるにしてもその人は異様にでかすぎるのだ、たぶん立ったらゆうに3〜4mはあるんじゃないかと
いうくらいにでかい。
流石に空気を読んだBも「でかすぎるよな…なんだあれ…」と独り言のように言っている。


更にその女の子は「あと、あの奥のプリクラのところなんだけど…」と言うのでそっちを見てみると、入ってきたとき
俺たちは気付かなかったのだが、ロングスカート?を履いた女の人の脚が年代物っぽいプリクラの周りにある
カーテンの下から見える。
その子がいうには、あの女の人は自分たちが来た時からずっと1人であそこにいて全く動かないんだという。
そして更に続けてこう言ってきた「あとなんか変な音聞こえませんか?人が話しているような…」と、「言われて
みれば…」入ってきてから何か音が聞こえていたのだけれど、俺はなんとなくエアコンか何かの機械の作動音
だと思っていたのだが、良く聞いてみるとぼそぼそと大勢の人が話しているような、そんな声のように聞こえる、
どこで話しているのかは全く解らないが、とにかく何かここは何か変だ。
そんな話を5人でしていると、休憩所と自販機コーナーの間にあるドアが開きAとCが入ってきた。
そして俺たちと女の子を見てCが「お前らなにナンパしてんだよ…」と呆れたように言うと、「そんな事よりちょっと
こっち来てくれ、なんか変なのがあるんだが」と、結構真顔で言ってきた。
Aもふざけている様子もなく、俺とBが変なのってなんだよ?と聞くと、上手く説明できないからとりあえず
自販機コーナーに来てくれという。
こっちも変なこと山盛りだった俺たちは、AとCにこっちもなんか変な事だらけだと話しながら、女の子たちも連れて
自販機コーナーへ行く事にした。
自販機コーナーに入ると、Aがこれを見てくれとカップでコーヒーなどを売っている自販機を指差した。
その自販機、パッと見はよくドライブインとかにあるような、液晶画面が付いていてそこで商品の紹介やCMなどを流す
普通の自販機にみえるのだが、普通の自販機とは明らかに違う部分が1つある。
液晶画面のところに、明らかに映像ではないどう見ても生身の口があり、それが「いらいっしゃいませ」とか
"喋って"いる。
Cが「な、変だろ?最初俺たち人が入っているのかと思ってさ、声かけたり自販機を叩いたりしたんだけど、
何の反応もないんだよ」という、「それに」と付け足して「この口の周り、唇から外はどう見ても普通の液晶
画面に見えね?どうなってるんだろこれ」と言ってきた。

明らかにこのドライブインは何かがおかしい、現実離れしているというかなんというか…
とりあえずAとCにこちらの事情を全て話して、いったん外に出ようと話していると、休憩室のほうを見ていた女の子が
「ちょっとちょっと!あれ!」とかなり動揺した声で、俺の肩をゆすりながら休憩室の方を指差した。
指差した方を見て俺も含め全員絶句してしまった。
さっきプリクラの所にいた女の人が出てきてこちらに向かって歩いてきているのだが、その女の人『上半身がない』
のだ、厳密には下半身から上の部分が漏斗を逆さにしたように収束していて上半身というかなんというか、その
部分は棒とも紐ともつかないものが真っ直ぐ上へ伸びている、それが歩くたびにユラユラと揺れながらこちらへと向かってくる。
姿からしてどう見ても人間ではない。
俺たちはその異様な姿に完全に思考が停止してしまい、パニックになって全員外へと逃げ出した。
そして外へ出て振り返ると、その『物体』は俺たちを気にする事もなく、そのままトイレのほうへと消えていった。
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