2014年2月16日日曜日

恐い話

--------------------
私の、かわいいお人形【後日談】
※前回の話


以前、七五三の前に祖父母の家の奥の間で、
青い袴の人に連れて行かれかけたという話を投稿した者です。
覚えておいででしょうか。
後日談が出てきてしまったので話させてください。
うまくまとめられなかったので少し長いです。

あの話を投稿した後、青い袴の人の正体が気になって、
改めて両親や親戚に心当たりがないか尋ねてみました。
すると上の従兄(私が最初青い袴の人と間違えた人です)が、
「今だから話せるんだけど」と話してくれました。

従兄は、幼い頃の私が奥の間で遊ぶのをあまりよく思っていなかったそうです。
当時、祖父母と同居していた従兄は、誰もいないはずの奥の間から気配がしたり、
かすかに琴か何かを弾いているような音が聞こえることがあって
(合奏ではなく一人で弾いているような感じだったそうです)
あの部屋には何かいるのでは…と疑っていました。
特に弦の音が聞こえるのは私が遊びに来ている時や、その日の夜が多く
当時の従兄は、私が何か関係しているのではないかと思って
様子をうかがったりしていたそうです。

七五三を過ぎて私が奥の間で遊ばなくなると、奥の間の気配も徐々に静かになって、
従兄はしばらくそのことは忘れていました。
ところが何年かたって、再び奥の間から琴の音が聞こえるようになりました。
家族にそんなものは聞こえないと言われ、
従兄は意地になって奥の間に何かないか探したそうです。
しかし琴など見つからず、あったのは従兄曰く「親父の昔のエレキだけ」
他に怪談や因縁話もなく従兄はお手上げ状態になりました。
(ただ後で訊いてみると琴の音は知っている人がいました。
お正月と雨の日によく聞こえたそうです)
 
しかし、音が復活して何年かたったある年のこと、
伯母が奥の間の箪笥から一枚の着物を出しました。
私が成人式で着るための振袖です。
振袖を風に当てるため、従兄は伯母の手伝いをしていました。
衣紋掛けに振袖を広げ、伯母が他の用で部屋を出ていき、奥の間に従兄一人になった時。
なんとはなしに振袖をながめていると、
後ろに確かに人の気配が立って、男性の声が呟くように言ったそうです。
「サキテチリニシハナナラマシヲ」と。
驚いたけれど不思議と怖くはなかったそうです。
それよりもなぜか無性に泣きたくなって困ったと言っていました。

私は、成人式の日、祖父母の家に挨拶に行きましたが、
従兄にはその日の夜、ずっと奥の間から琴の音が聞こえていたそうです。

そしてその日以来、音は一切聞こえなくなりました。
今はもう祖父母の家は取り壊されており、あの奥の間も無くなったことから、
もう話しても大丈夫だろうと思って話してくれたそうです。
 
あの青い袴の人が何を言っていたのか、
「後で調べてやれ」と従兄に言われてググりましたが、
正直、複雑な気分になりました。
正しくは「咲きて散りにし花ならましを」だそうで、
「自分の身がすぐに咲いて散ってしまう花だったらいいのに」という意味だそうです。
奥の間で一人で寂しかったのかと思えば可哀想な気もします。
でも、不用意に親しくすれば七歳以降でも連れて行かれていたのかもしれないし、
無事だった今だからそう思えるのかもしれません。
あのおかげで今でも人形がトラウマですから。

ただ、気になることが一つ。
従兄は琴など無かったと言っているのですが、私の記憶では琴はちゃんとありました。
祖父母の家を壊すことが決まった時に、私は祖母の琴を貰っているのです。
奥の間の壁にずっと立てかけてあったものです。
あんなに大きな物を従兄が見落とすとは思えません。
今、我が家で琴の音が聞こえることはも勿論ありませんし、
私の貰った琴があの青い袴の人が弾いていたものかもわかりません。

結局、あの人が何者だったのかはわかりませんでしたが、
もう会うことも無いと思います。私は相変わらず喪女のままです。
@広告@
最新号取り寄せアドレス:
00592655.bn@b.merumo.ne.jp

ん!?なんか用?
00592655k@merumo.ne.jp

この号が気に入ったら押して下さい
☆ぽちっとな
http://merumo.ne.jp/like/00592655/b3189/?guid=ON


[メルモPR]
メルモでメルマガ発行しよう!
http://merumo.ne.jp/

バックナンバー
http://bn.merumo.ne.jp/list/00592655

配信元:メルモ byGMO
http://merumo.ne.jp/

スマートフォンの方はこちらから登録端末変更をしてください。
http://cgi.merumo.ne.jp/reader/subsc_change.do

0 件のコメント:

コメントを投稿