2016年1月27日水曜日

前編泣ける話

小学三年くらいの時の話。
おれは転校してきて、誰とも馴染めないで、ずっと花壇に張り付いて花のスケッチばっかしてた。
花壇近くに、焼却炉(昔はどこの学校にもあったんだ)があって用務員のおっさんはいつもなんか燃やしてた。


当時の俺のスペ
メガネ
デブ
いつもチャンピオンのジャージ
スポーツできない
おっさん
60くらい
いつも上・下ベージュの詐欺容疑

家に帰っても母親が再婚して、大嫌いな親父がウチでゴロゴロしてるもんで、夕方過ぎに母親が帰ってくる時間までスケッチなり図書館なりで過ごしていた。
学童保育もあったけど馴染めないから学校で過ごしていた。
バーコードバトラーが流行っていた時代。


ある日、相変わらずスケッチをしてると、おっさんが話しかけてきた。
おっさん「君、いつも熱心だね。画家にでもなりたいのかい。どれ、みせてごらんよ。」
俺はあわてて、じゆうちょうを隠した。
絵は未だにものすごい下手だから。
何でお前pixivに載せるの?てレベル。


コミュ障だった俺は一言もおっさんとは口を聞けなかった。うんうん頷くか、首を振るくらい。
友達いないのか?
家には帰らないのか?
色んな質問されたが、口は開けなかった。


そんでそれからは挨拶はする程度になったんだわ。
おっさんは俺にピカソとかあだ名をつけた、多分絵が無茶苦茶だったからだろ。
でも懲りずに毎日スケッチしてた。
んである日、俺の小学校時代の転機が訪れる。

その日は、雲行きが怪しくて、スケッチをしてたんだ。案の定雨に降られ、雨宿りしてたら、おっさん来た。
何だピカソ君、濡れねずみじゃないか、ちょっとこっちゃ来い。
黙ってついてった。



連れていかれた先は用務員室。
始めて入るが何か臭い。
おっさんがタオルをかしてくれた、
それも臭い。
タバコの匂いが充満していた。
今考えるとそういう部屋が昔の小学校にあったんだな。ビビるな。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:10:18.51 ID:8pO08jLK0
タオルで頭を拭いてると、おっさんの汚い机の上になんやら、見知らぬ物体があった。
なんだこれ?とおもっておっさんにきいてみた。
これが俺の小学校時代が変わる物体。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:11:29.58 ID:AHIEBEuT0
ちょっと期待w

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:14:32.23 ID:8pO08jLK0
おっさん「ああ、これか、これな。けん玉だよ。やったことないの?俺がジャリんころはみんなやってたけどな。ほれ、こうして」
って言って、巧みに振りけんをやってくれた。
その後もおっさんは色んな技を見せてくれた。
俺はけん玉に魅了された。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:16:03.98 ID:8pO08jLK0
家に帰って、母親にソロバン買うって嘘ついてけん玉買ってきた。
けん玉ライフが始まる。
それからは、休み時間練習、放課後練習、家に帰ったらウザい親父がいるので練習は出来なかった。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:16:05.28 ID:+EU8nIjy0
おっさんのきん玉に魅了される話じゃないのか・・・

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:18:42.30 ID:8pO08jLK0
で、休み時間にけん玉してたら、
クラスの奴らがけん玉に興味示したわけ。
なにそれ?おもしろそうじゃん。
って言って話は盛り上がって友達が始めて出来た。
クラスの奴らもけん玉買って来て用務員室で放課後けん玉してた。

まーそうしてどんどん規模がひろがって用務員室じゃ人がおさまりがつかなくなったんで、
けん玉部たるものを立ち上げることになった。
学校からは許可が出て、空き教室をひとつかしてもらえる様になった。

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:25:27.80 ID:8pO08jLK0
部長は俺がなった。
他学年からも部員がふえて、
20名くらいのけん玉ソルジャーが集まった。
すげー楽しかったわ。
部内大会とか、市のけん玉大会とかにも出て優勝したりした。

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:26:00.26 ID:8pO08jLK0
で。
俺が一個進級する頃に、おっさんはこう言ったんだ。
俺今年で定年なんだわって。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:29:22.85 ID:8pO08jLK0
おっさんがいなくなる事を部員全員が悲しんだ。
けど四年生になっても週に一度だけおっさんが来た。
その頃にはおっさんよりもすごい技をくりだせるようになってたので既に師匠越えをしてしまった。
五年生になる前くらいに、おっさんはめっきり姿をみせなくなった。
新しい顧問の図書室の先生に、おっさんはどうしたのか聞いてみた。

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:32:17.13 ID:8pO08jLK0
図書の先生は最初口を濁してたけど、おっさんは入院しちまったらしい。
おっさんは新しい顧問に入院してることを黙っててくれっていってたんだって。
で、次の土曜日にお見舞いでも行こうって話になって、部員と病院まで遠征することに決めた。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/13(火) 11:35:10.63 ID:8pO08jLK0
始めて子供たちだけでバスやらに乗るから緊張した。
おっさんのお見舞いでミカン買ってった。
で、いざ名前を受付に言って部屋を調べて貰ったらおっさんの部屋には入れないって言われた。
子供の頃だからわからんかったけど、おっさんはもう相当ヤバかったんだろうな。
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