2013年12月21日土曜日

ネタ話後編

ニート「俺、どうしたらいいんだろう。借金を肩代わりするのは簡単だけど・・・。なんか違うんだよ・・・。ただ、何て言うかな・・・」

ニート「お婆さんと彼女を助けたい」

オッサン「無駄だ」

ニート「え?」

オッサン「そのヤクザの組長。未来人だ」

時代の流れに駄菓子屋はついていけなかった。

お婆さんは駄菓子屋をたたみ、細々と暮らしていた。

女はお婆さんの駄菓子を受け継ぎ、駄菓子を作る職人になっていた。

だが、売上は全くだった。

女「今日はありがとう」

ニート「あ、うん」

女「また、近くにきたら寄ってね」

ニート「うん」

オッサン「あの土地からはあと3年ほどしたらレアメタルが出るんだ」

ニート「!?」

オッサン「価格は暴騰する。その組長はそれを知ってるんだ。だから安い今のうちに自分の土地にしようとしてるんだ」

ニート「そ、そんな」

オッサン「確証はないが、な。だが、そうでもないとヤクザが絡んだ借金が土地と交換なんて条件で消えるはずがない」

オッサン「おそらくレアメタルが出るとわかっていて取引を持ち掛けてるんだ。俺のいた時代では有名な土地だ。」

ニート「じゃあ、俺が借金を返しても」

オッサン「無駄だ。奴らは次の手を考えるまでだ」

ニート「そ、そんな・・・」


ニート「腑抜け、腑抜け、か。くっ!」

オッサン「お、おい、萎えるからやめろって!」

ニートは泣き出した。

ニート「腑抜けなのか、俺は。俺は!!」

オッサン「おい!忘れろよ!なにマジになってんだよ」

ニート「俺は、俺は、あの子を助ける」

オッサン「いや、だから無理だって、相手はヤクザ」

ニート「関係ねーよ!」

オッサン「!」

ニート「あの子は俺が孤独で辛くて下を向いて泣くことしかできなかった時でも、優しくしてくれた」

ニート「昔もそして今もあの子は優しかった。俺はあの子に救われたんだ!」

オッサン「お、おい・・・」

ニート「俺はいくぜ。もうこんな生活はまっぴらだ!どんなに貧しくたって惨めだっていい!大切な誰かの為に俺は生きていく!」

オッサン「・・・」

ニート「熱くなってすまん。あんたには関係なかったな。じゃあ、俺は荷物を準備したら行くから」

オッサン「待て」
オッサン「俺は未来からきた。俺の人生は散々だった」

ニート「・・・」

オッサン「イジメられてたから雰囲気も悪いし、不器用だから仕事もできなかった」

オッサン「貧乏だし、友達も出来ず、彼女もいないし、一人ぼっちの寂しい人生だった」

オッサン「そんな時だ。俺の寿命が長くないとわかったのは」

ニート「!!」

オッサン「癌だった・・・。ことごとく運がなかった。楽しくもない人生の最後がよりにもよって苦しんで苦しんで苦しみ抜いてから死ぬ癌なんだ」

オッサン「耐えられなかった。俺はせめて死ぬ時は楽に死にたかったんだ・・・」

オッサン「だから俺は未来の法を破ってこの時代にきた。最悪、見つかっても癌よりかははるかに楽に殺してくれるからな」

ニート「そうだったのか・・・」

オッサン「俺は正直、いまの生活に幸せを感じる。金、女、うまい食べ物。俺の人生にずっとずっとなかったものだ」

オッサン「だがな。お前が本当に本当に腑抜けじゃない、あの子を幸せにするって言うんなら」

オッサン「俺もこの生活を捨てるよ」

ニート「それって」

オッサン「ヤクザの組長を警察に突き出す。未来の法で裁いてもらう」

ニート「そんなことしたら!」

オッサン「もちろん、俺も捕まる。裁判はあるかもしれないが、死刑は確定だ」

ニート「だったらここで贅沢してろよ!俺は俺でやるから」

オッサン「実はな・・・俺ももう嫌なんだ」

ニート「?」

オッサン「過去の自分と過ごすのは楽しかったぜ。自分で言うのもなんだがお前はいい友達だった」

ニート「!」

オッサン「俺もよ、死ぬ前によ、一度でいいからよ、友達とか好きな人の役に立つってのをよ、やってみたくなったんだよ・・・」

オッサン「若いってのはいいな。熱くなれる。俺はなぜお前ぐらいの頃に熱くなれなかったんだろう、な」

ニートは荷物をまとめた。

ニート「世話になったな・・・」

オッサン「なに、自分自身だ」

ニート「なあ、これ、受け取ってくれよ」

オッサン「?」

ニート「あの子が作った駄菓子」

オッサン「お、お前!」

ニート「じゃあな」

オッサン「ああ」
ニートは財産を捨て、その身一つで故郷へと帰っていった。

ニートにはまだ何も出来ない。

だが、彼女とお婆さんを支え生きていこうと決意した。

後にニートは駄菓子職人として世界に名を轟かせ、愛する人と故郷で幸せに暮らした。

女「そういえばどうして急に駄菓子職人目指そうと思ったの?」

ニート「そういえば何でだろうな?」

女「それに東京に住んでるって言ってなかったっけ?」

ニート「あれ?うん、なんか東京に住んでたはずだけど、何で住んでたんだっけ?」

ニート「たしかオッサンと住んでた気がする。でもあのオッサン誰だったんだろ・・・。ってかなんでオッサンと住むんだ?」

ニート「オッサン・・・いや、友達かな、父親のような気もする・・・。なぜだろう、記憶がはっきりしない・・・」



未来





刑務官「階段を登れ」

オッサン(ガクガクブルブル)

刑務官は首にロープをかける。

刑務官「よし!」

オッサン「あ、あの」

刑務官「なんだ!」

オッサン「これを執行前に俺の口に入れて下さい」

刑務官「わかった」

オッサン「ありがとうございます」

オッサンの口に駄菓子が入る。

オッサンの身体が宙に浮いた一瞬、オッサンは夢を見た。

女の子「これあげる」

「え」

女の子「これね、とってもおいしいんだよ」

「でも、僕・・・」

女の子「じゃあさ、いっしょにたべよう!」


「・・・うん」



完。
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