2013年12月16日月曜日

恐い話 後編

今度はお姉さんが、息を引き取ったと…


母とTちゃんのお姉さんの葬儀に参列した。
うちの母も、立て続けに娘を二人失ったTちゃんのお母さんを思い、できる限り手伝おう、と葬儀の受付とかを手伝っていた。

その後しばらくたって、Tちゃんのお母さんからまた電話があった。
離婚をして、実家に帰るため、家を処分するんだとか。
その前にお世話になったうちの母と私に挨拶をしたい、と。
家に行くと、玄関やリビングはもうすっかり片付いていた。

お母さんといろいろ話した。
お姉さんはTちゃんが事故に遭う数日前から入院し、もう長くはないと医者に言われていたんだとか。
「もしかして一人で逝くのが嫌だったHが、Tを先に逝かせたのかしら…」とTちゃんのお母さんが言った。
ぞっとした。
そういえばあの日、この家で、入院していたはずのお姉さんに、会ったのだ。
「大事な妹だから」
大事な妹だから、連れていったのだろうか…
Tちゃんのお母さんは、もういらないからとあの日遊んだ新しいゲームとその他のソフトを貰ってくれないか、と私に言った。
うちの母も、もらってあげたら供養になるよ、貰いなさい、と。
言われるがままもらうことになった。


家に帰り、ゲームソフトを眺めていた。
四角いプラスチックのカゴに入った8本のゲームソフト。
Tちゃんと遊んだ新しいゲームソフトもあった。
遊んだことのないやつも2つあった。
どんなゲームだろう、と後ろを見たりして開けてみる。
すると4つに折り畳んだ紙が出てきた。
広げてみるとそこにはこんなことが書いてあった。以下、原文ママ。


『お姉ちゃんばっかりずるい、お母さんはお姉ちゃんばっかり。私はいなくてもいい子なんだね。いなくなっちゃおうかな。
お姉ちゃんのせいで学校でも友達がいない。Mちゃんだけが友達。お姉ちゃんのせい。お姉ちゃんのせい。
お姉ちゃんなんて病気で早く死んじゃえばいい。早く死んじゃえ!バカH!』

その紙の間にもうひとつ、紙が入っていた。
白い紙を人型に切り、顔に『広美』、身体中に赤いペンで『しねしねしねしねしねしねしね…』



思わず悲鳴をあげた私にビックリして母が来て、それを見た。
母の目に涙が溢れて、私にこう言った。
「Tちゃんは、寂しかったんだね…お母さんは病気のお姉さんにかかりきりで…あんたはいいことしたんだよ、寂しかったTちゃんと遊んであげて、仲良くしたんだから…」

その手紙はTちゃんのお母さんにはつらいものだろうから、内緒にすることと、母も私もこの手紙を燃やして忘れよう、ということになった。

そして、見たくもなくなったそのゲームソフトをしまい、何年も経った去年、私は大学に通うため独り暮らしをすることになった。
部屋を片付けて荷造りをしていると、あのゲームソフトが出てきた。
あんなことがあったなぁ…と思いだし、処分する前にTちゃんを思いだそう、とゲームソフトを見始めた。
懐かしいな…
いろいろ見ていると、あの時開けなかった、遊んだことのないもうひとつのソフトが目についた。
何気なく手に取り、開けてみた。
白い4つ折りの紙が出てきた。
デジャブのような感覚に陥り、私は紙を開いた。


以下、原文ママ。


『最近Mのやつが私に冷たくなった。Mだけが私の友達だとおもっていたのに。Mとはずっと友達だと思っていたのに。どうしたらまたMと友達になれるだろう。今度でる新しいゲームソフトを買ったらまた遊んでくれるかな。
それにしてもMのやつ、ムカつく。他の子と仲良くしてんじゃねーよ!あいつもお母さんと同じ。私がいなくてもいいんだ。悲しい。』
折り畳んだ人型に切り抜いた紙も出てきた。
恐る恐る開いてみる。
顔のところに『M』
体のところには…
『20歳の誕生日に、しね!』



私は来月、20歳になる………。


実話です。びびっています。誰か助けて。


大丈夫だよ。
Tちゃんは死ぬ前に電話でお母さんに、その日あなたと遊んで楽しかったって話してたんでしょ。
もし事故に遭わずに生きていたら、自分でその手紙や人型を破棄していたと思う。

または子供だからそんな手紙書いたことも忘れて、何年も経ってから見つけて
読み直して苦笑いしたかもね。

Tちゃんはあなたと遊べて満ち足りた気持の時に亡くなったし、お姉さんも生霊?になって
妹のことを頼みに出たほど妹思いだから、きっと天国で姉妹仲良くしているよ。
恨みや呪いの気持ちはもう残っていないよ。


ありがとう。そうだといいんだけど…あれからもう9年経つし、Tちゃんに恨まれてたのならもっと早く殺されてると思うんだ…。
でもTちゃんにあんな風に思われてたなんて知らなかったから、かなりビビった。


子供って親に叱られたり友達と喧嘩したりすると、悲しさや悔しさのあまり
つい相手のこと死ねばいいのにとかおもうことあるよね。
普通、そんな感情はすぐに忘れてしまうもうのだから、一緒に楽しくゲームした時点で
もうTちゃんの負の感情はチャラになってるよ。

それにTちゃんのお母さんが子供思いの良い人っぽいから、亡き我が子たちが成仏できるように
ちゃんと供養しているんじゃないかな。

このスレに来たのも何かの縁だから、私もTちゃん・お姉さんのご冥福と
もうじき成人するあなたの幸せを祈っておきますね。
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